胡弓の歴史
胡弓は、胡の国から

 およそ1500年程前に、シルクロードを渡ってきたペルシャ商人が中国をはじめ、広くアジア諸国に伝えた弦楽器。
 中国では、「胡琴」(フーチン)と呼ばれ、日本で「胡弓」という名称で知られています。
 胡弓独特の感情豊かな音色に魅せられたアジアの人々は、その国や、地方の祭りや催事等に彩りを添えたり、又、歌の伴奏に活かされたりしながら、民謡や民族音楽の中で育まれて来たのです。
 長い歴史の中で、地域によって独自に改良、開発、製造された胡弓様々の種類は、何十種類もあります
 胡弓は、「人の声にもよく似ている」と言われるその音色は、伸びやかさと豊かな響きをもち、その表現力の深さは人を魅了してやまない大きな力を秘めております。

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 胡弓(二胡)の構造
 数多くの種類が存在する胡弓の中で、最も一般的といわれる二胡(にこ)。ここでは、その二胡の構造を図解で説明しております。
 名前の「二」は2本の弦であることを意味する。別名「南胡」。京劇用のものと、地方劇曲の伴奏及び、広東地方の音楽などの民間音楽の独奏・合奏用のものとがある。前者の場合、京劇で“京胡”を補助する役を務め“京胡”よりも1オクターブ低く調弦される。“京胡”と比べ棹も長いので、中音域の楽器。後者の場合、京劇用のものと比べて、やや棹が長い。独奏楽器としての地位が確立し、使用する音域も広くなった。

●1琴頭(チントウ):ヘッド
●2内弦軸(ネイシエンジョウ) 
●3外弦軸 (ワイシエンジョウ)
●4弓棹:琴弓の棹 
●5弓棹:竹製
●6千金(チエンジン): 琴弦を琴棹に固定する装置
●7琴杆(チンガン):本体の棹 
●8弓毛(ゴンマオ): 琴弓の馬毛部
●9琴弦(チンシエン): 材は合成銀 
●10琴筒(チントン):共鳴胴、材は黒檀や紫檀など 
●11振動皮膜(ジェンドンピィモォ): 蛇皮 
●12琴馬(チンマァ): 駒(ブリッジ)


※絵の数字部分をクリックすれば写真が表示されます

 


 胡弓の種類

●板胡(写真中央)

 胴には蛇皮ではなく、板を張るところが特色。形態上の特色として、胴の下に底板がつけられている為、豊かな共鳴が得られる。

 黄砂で使用されているのは、この板胡である。

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●高胡

 第1,2弦、第2,4弦をそれぞれ同音に合わせるので、原理としては二胡と同じ。弦の数が多い為、音量が豊か。

ひばりに使われているのはこの高胡弓。

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●三弦板胡
 楊興新自身が研究、完成させた。和音を出すことを可能にし、従来の胡弓では弦間に挟んでいた弓を解放し、よりクリアな音色を奏でることを可能とした。
楊は、この独自の胡弓を使用し「彝郷月夜」(いきょうげつや)を作曲。この革新的な曲は、中国全土に認められ、国を代表する数々の賞を受賞した。
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●京胡
 京劇で用いられるのでこの名があり、楽曲の主旋律を奏する楽器。形は他のものと比べると小さく、そのため音域も1オクターブを少し越える程度と狭い。音高が高く、音量も甚だしく大きい所が特徴。
 


 ●幻舞
 ブティックの飾りに使われていたというこの“幻の胡弓”を手に入れた楊は「幻舞」を作曲。
 神秘的なその音色は、聴くものすべて、異国への幻想へといざなう。